公益財団法人花と緑の農芸財団

安久山の大シイ

 巨樹・巨木の町として名高い旧八日市場市(現千葉県匝瑳市)にあって、そのNo.1はこの安久山の大シイ(椎)。一般民家の裏庭に鎮座する県下一、全国屈指の巨木です。テレビ番組などでご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。幹周り10m、高さ25mを超え、樹齢は1000年ともいわれ、迫力の造形を見せる板根や幹肌、枝振りの豪快さに圧倒されます。
 自然への畏敬…風雪に耐え、幾代を経てそびえ立つ巨木には、見上げる私たちを癒やしの世界へ導く不思議な力が備わっています。古の信仰の対象ともなり、人間や動植物の営みを見つめ続けて来た巨木は、訪れる私たちに何を語りかけてくれるのでしょうか。

  大シイの裏には、NHKの「日本の里山100選」にも選定された谷津田風景が広がります。ここは猛禽類のサシバ(タカ目タカ科)が毎年子育てをする貴重な里山でもあります。裏山の急斜面には地元の有志である木下芳一氏が、ひとりでコツコツと切り拓いた散策路が田んぼまで続いています。

 大シイは明治から続く旧家平山家の邸の裏庭にあるので、訪れる際には十分な配慮が必要です。庭の草花への心遣い、邸内禁煙はもちろんのこと、ペットの同伴や路上駐車、トイレを借りたいなどの要求も遠慮すべきでしょう。
 しかし、邸の主であり「飯高地域まるごと体験博物館」主宰の平山喜人氏は「町の重要な観光資源として捉えているので、ひと声掛けて頂ければ平日でも裏庭へ廻って見て頂いても結構です。
僕が居る土日は午前と午後各1回ずつガイドもしますし、築130年の母屋内もご覧頂けます。」と、大らかにお応えになる。来年米寿を迎える喜人氏のお母様も笑顔で見学者を出迎え、昔話などを聞かせて下さる。とはいえ維持や管理のご苦労は察して余りあります。
 そこで、この春からは「維持管理協力金」としてひとり\300(茶菓付)を納めた上で拝観させて頂けることになりました。邸内では、植木や穫れたて新鮮野菜の販売も行われ、希望者には野菜の収穫体験なども計画中だそうです。
 安久山の大シイ周辺には、銀杏や椿の大木が見られる稲荷神社や、日枝神社の鎮守の森などもあり、ゆっくり歩く緑の探索には好適地となっています。  [花と緑と農芸の里]からは、車で約15km。多古町経由で県道74号と県道16号が交差する「飯高交差点」近くの県立飯高特別支援学校(飯高小学校跡)を目指して下さい。
近くには日本最古の大学・飯高寺=飯高檀林跡(本誌44号紹介)があります。


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■住所 平山喜人氏宅(千葉県匝瑳市安久山197)[googleマップで見る]
※平山喜人氏携帯電話番号 090-5311-6799

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