[花鉄の部屋]第8回は、由利高原鉄道・鳥海山ろく線(愛称=由利鉄)と色鮮やかなチューリップの花です。

タイトル=花いっぱい 里の春
撮影者=佐藤和博
撮影地=秋田県由利本荘市

 秋田県南部を走る由利鉄は、大正期創業の横荘鉄道西線(羽後本荘−前郷)を買収・国有化した矢島線(羽後本荘−羽後矢島)廃止に伴い1985年(昭和60年)に誕生した第三セクターによるローカル線です。
現在はJR羽越本線と連絡する羽後本荘駅〜矢島駅間の12駅(23.0km)を結び、観光と地域の足として活躍しています。
 山形県との県境にそびえる鳥海山に連なる雄大な山々を望みながら、田園風景の中を子吉川(一級河川)と国道108号(矢島街道)に沿って走る今号の車両は、YR1500形。従来のYR1000形が冷房や半自動扉導入などの更新を経て改番されたものです。同時に車体も「稔りの大地」の山吹色と「子吉川」のブルーを表したツートンカラーに一新されています。
 懐かしいふるさとの原風景を見るような画像の撮影者は、由利鉄沿線で生まれ育った鉄道カメラマンの佐藤和博氏。同鉄道の応援大使を委嘱され、企画列車などの対外PRにも努められています。
 昨年の5月中旬、鮎川駅〜黒沢駅の沿線の花壇で許可を得て撮影していると、「うちの集落で育てている花だから、きれいに撮ってくれよ」と近隣の方に声をかけられたそうです。 構図を決めてファインダーを覗いてもらうと「おお、いいなぁ!」と感嘆の声。花や緑と同様に、地域の人々の暮らしの中に溶け込み、愛され続ける由利鉄を「季節の中の陽だまり」のような存在であると佐藤氏は語って下さいました。
 そんな由利鉄も、他のローカル線同様苦しい経営状況が続いていますが、昨年7月には公募により旅行代理店勤務36年の経験をもつ春田啓郎氏が社長に就任され、地元の力強い応援を得ながら観光や地域活性化に取り組んでいます。詳しくは由利鉄のWEB SITEで。
http://www.ybnet.jp/~yurirw/
 今回、ご協力を頂いた佐藤和博氏のブログ【酒と鉄道の日々 ビジュアル版】http://blogs.yahoo.co.jp/sun75777(HN=秋アキ)には、氏が秋田県内の路線を中心に、40年間に亘って撮り続けた愛情溢れる鉄道写真が満載されています。

 

[花鉄(はなてつ)]とは細分化されている鉄道ファンは、乗ることが好きな「乗り鉄」「旅鉄」、撮影専門の「撮り鉄」、その発車ベルや走行音のファンを「録り鉄」、駅弁を食べ歩く「食べ鉄」、女性の鉄道ファンを「鉄子」などと呼ぶことがあるそうです。そこで、私たちは各地で出会える「花」と「鉄道」が共生する素敵な風景を、勝手に「花鉄」と名付けて愛し続けることにしました。


  flower with railway vol.8