[花鉄の部屋]第10回は、秋空の下、コスモス畑を往く三岐鉄道三岐線です。


タイトル=コスモスと三岐鉄道
撮影者=南野哲志
撮影地=三重県いなべ市



三重県内を走る三岐鉄道三岐線は昨年の夏に開業80周年を迎えました。当初はセメント輸送を目的として敷設され、現在は近畿日本鉄道・名古屋線の近鉄富田駅とJR東海・関西本線の富田駅(四日市市)から西藤原(いなべ市)間の15駅(一部貨物専用路線を含む)、27.6kmを結びます。
 三岐鉄道では「駅」を楽しい場所にしようというプロジェクト「ひと駅いちテーマ」を2001年(平成13年)から推進しています。駅舎の意匠を工夫したり、駅に図書館を併設したり、[貨物鉄道博物館]の開館等々。いずれの取り組みも。地域ボランティアとの共生による運営方式を採用しています。全国のローカル線活性化や、鉄道好きの子供を増やすためのモデルケースとなりそうです。

 今号の撮影者の南野氏も鉄道少年として育ったそうです。三岐鉄道の電車整備士の父をもち、沿線の学舎から三岐鉄道の勇姿を毎日見て過ごし、現在は本業(建築設計・建築模型制作)の傍ら、前述の「ひと駅いちテーマ」プロジェクトへボランティアスタッフとして参画、[貨物鉄道博物館]の理事もお務めです。
氏のブログ【三岐鉄道車輛大図鑑「きまぐれ日記」(http://n-craft-s.at.webry.info/)】では、奥様と一緒に沿線を巡って撮影された、たくさんの楽しい「花鉄」を見ることが出来ます。
 高く広がる秋空と、黄色とオレンジ色の801系車両と、美しいコントラストを見せながら咲き誇るコスモスの花。和名は「秋桜」。日本には幕末に種が持ち込まれ、明治期には全国に広まったとされています。昨年は休耕田などを利用した景観植物として多くの町の秋景を彩っています。
 三岐鉄道には全線(北勢線含む)乗り降り自由のお得な『1日乗り放題パス』があります。沿線の「花めぐり」「駅めぐり」に活用されてはいかがでしょうか。
三岐鉄道のWEB SITE(http://sangirail.co.jp/)に、秋のハイキング列車などのイベント情報が満載です。
 

三岐鉄道三岐線丹生川(にゅうがわ)駅前
特定非営利活動法人貨物鉄道博物館
Freight Railway Museum

展示車両のひとつ[B4形39号]
1898年(明治31年)に製造された英国製の蒸気機関車。1966年(昭和41年)引退。


1873年(明治6年)に始まった鉄道による貨物輸送の130周年を記念して、2003年(平成15年)、国内初の貨物鉄道の博物館として開館しました。「未来技術遺産」に登録された収蔵車両などもあります。開館日は毎月第1日曜日(1月のみ第2日曜日・その他、臨時に開館することあり)。開館時間は午前10:00〜午後4:00.入館料は無料です。

WEB SITE http://frm.kans.jp/

 

[花鉄(はなてつ)]とは細分化されている鉄道ファンは、乗ることが好きな「乗り鉄」「旅鉄」、撮影専門の「撮り鉄」、その発車ベルや走行音のファンを「録り鉄」、駅弁を食べ歩く「食べ鉄」、女性の鉄道ファンを「鉄子」などと呼ぶことがあるそうです。そこで、私たちは各地で出会える「花」と「鉄道」が共生する素敵な風景を、勝手に「花鉄」と名付けて愛し続けることにしました。


  flower with railway vol.10