第17回

芙蓉と小湊鐡道

[花鉄の部屋]第17回は、夏空に映える芙蓉の花と小湊鐵道線です。

タイトル= フヨウの花が咲きました
撮影者= 上田馬五郎(ハンドルネーム)
撮影地= 千葉県市原市月崎
1925年(大正14年)、千葉県市原郡(当時) の五井駅〜里見駅間で開業した小湊鐵道はその後延伸を進めますが、当初終着点目標としていた小湊駅(現在のJR東日本外房線安房小湊駅付近)までの設置を諸般の事情により断念、その名残を路線名に残し、現在は上総中野駅(夷隅郡大多喜町)までの18駅間の39.1kmを結んでいます。

レトロな趣のツートンカラーのキハ200形気動車と濃いピンク色の芙蓉の花は、晩夏の無人駅・月崎駅で撮影されました。撮影者の馬五郎さんが期待していたコスモスとの「花鉄」には少々早く、芙蓉との競演となったそうです。

月崎駅から1.5km(徒歩15分)ほど歩くと「いちはら市民の森」(生活環境保全林指定)があり、貴重な動植物の観察が出来る自然豊かなハイキングコースなどが整備されています。
芙蓉はアオイ科フヨウ属の落葉低木。朝開いて夕方閉じる「一日花」を、長い期間にわたって愉しむことが出来ます。しかし油断すると葉に蛾(フタトガリアオイガ)の幼虫である毛虫が付きやすく注意が必要。馬五郎さんも撮影時に「目立たないように苦労した」そうです。

ローカル線が走る里山風景に魅せられた都会暮らしの馬五郎さんのブログ[小湊鉄道のいる風景]には、愛する小湊鐵道の四季が綴られています。撮影のために足繁く通ううちに「この綺麗な風景を支えているのは地元の皆さんの地道な活動であり、気持ちよく撮影が出来るのも、そのおもてなしの心のお陰である」と深く感じ入ったそうです。今では地元の皆さんとの交流が深まり、里見駅を中心に活動する「喜動房倶楽部」のメンバーの方々と共に(花鉄の撮影をそっちのけで)活動する事が多くなっているそうです。


小湊鐵道の里見駅で毎月第1第3土日曜日に営業される「駅喫茶」で産直野菜やお弁当などを販売するボランティア団体「喜動房倶楽部」。同倶楽部は沿線の除草や、菜の花の種蒔きなどの他体験農園なども開催、これからの季節は枝豆やトウモロコシ、ブルーベリーの収穫祭を行うとのこと。最新情報は「喜動房倶楽部」の公式Twitterで。
flower with railway vol.17