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カエルと田んぼの強〜い絆 |
毎年、啓蟄が過ぎると水張り前の田んぼでは田起こしが行われます。冬眠していた虫やミミズを狙ってトラクターの後ろを付いて群れる白鷺たち。まるで彼らに急かされているような春耕の風景です。
カエル、トンボ、ヘビ、アメンボ、ミジンコ、ミミズ、クモ、ドジョウ…田んぼには様々な生き物が棲息し、皆それぞれが自然の循環や食物連鎖の中で役割を果たしています。
例えばミミズは土中の有機物や微生物を食べて、田んぼに排泄物として養分を提供し、同時に縦穴を掘りながら土の撹拌を促進してくれます。毎年田植えに参加してくれる子供たちが大好きなカエルも田んぼの中で重要な役割を担っています。
カエルは繁殖・産卵から幼虫であるオタマジャクシの時期だけ田んぼにいて、他の時期は草むらや畑(の土の中)などで生活します。おびただしい数の卵からオタマジャクシが孵り、ヤゴやタガメや水鳥などの餌にもなってしまいますが、彼らが元気に泳ぎ回る田んぼでは水が濁って日光を遮り雑草の繁殖を抑制してくれます。更にその排泄物や死骸は土中のバクテリアなどの菌によって分解され、稲の栄養にもなります。 |
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カエルになってからは、稲の害虫などを一所懸命に捕食してくれます。東北のある県の農業試験場で行われた殺虫剤使用量を減らすための研究では、カエルを意図的に入れないようにした田んぼに比べて、カエルが自然に棲息している田んぼでは、稲を荒らす代表的な害虫であるツマグロヨコバイ(
端黒横這) 、イネアオムシ(稲青虫) 、ヒメトビウンカ( 姫飛浮塵子)の発生がいずれも3〜8割も抑えられているという結果が出ています。
カエルが元気に合唱出来るような環境の整った田んぼを保全し続けていくのは、稲作りにも私たち人間にも優しい農業といえそうですね。
■参考資料 「田んぼで遊ぼう! 」里と生きものネット
ワーク・編著(地球丸発行)/「田んぼの生き物図鑑」内山りゅう・著(ヤマケイ情報箱発行)/「東北大学・土壌立地学分野」W
E BS I T E/Y omi u r i O n -line/「カエルくんの生活」WEB SITE〜他 |