夏から秋にかけて収穫され、豊富なビタミンを含む野菜の代表格がカボチャ(南瓜=唐茄子(とうなす))。しかし、その生産農家は年々減少しているそうです。理由は、その「重さ」。昨今の農業従事者高齢化によって、ダイコンやキャベツ、スイカなどと共に重量野菜の代表格として敬遠されているのだといいます。生産者と消費者が一緒に打開策を考えなければ、いずれ市場から消えてしまいかねません。
  そのカボチャの重さが重要な要素として登場する噺が『唐茄子屋政談(とうなすや・せいだん)』。もうすぐ土用を迎えるという炎天下、道楽が過ぎて勘当された大店の若旦那・徳三郎が生まれて初めて自分で銭を稼ぐために重い唐茄子を担ぎ売ります。ヘトヘトになりながらも、他人(ひと)の情けに触れ、生来の(良い意味で)鷹揚さと優しさをもって更正、成長していくという噺。カボチャの名は「カンボジア」から渡来したのが語源、またの名を唐茄子。当時(江戸初期)は、朝鮮半島や大陸を含めた外国をまとめて「唐(から)」と呼んでいたそうです。
[旬の噺]は、季節の草花や農作物が登場する噺(=落語)の世界を紹介するコーナーです。