画家・常田 健の生涯




りんごの花咲く季節の美術館外観
(写真提供:常田健 土蔵のアトリエ美術館)
訪れた日の第1展示室には、常田健の重要な作品テーマである「母子」の作品群が展示されていました。



 どうしても健の作品に会いたくて、梅雨明け前の津軽を訪れました。青森駅から弘前行きJR奥羽本線の各駅停車に揺られて30分。小雨模様の浪岡の町を散策しながら、20分ほど歩いて辿り着いたのは、りんご畑の中に建つ[常田健 土蔵のアトリエ美術館]。健の次女で、美術館館長をお務めの岡田文さんと、孫の岡田考文さんが笑顔で出迎えて下さいました。閉館日で、展示替えを翌日に控えた静かな館内で、健の作品と初対面を果たしました。画集では感じきれなかった、作品の大きさと迫力、その筆遣いからほとばしる強い生命力に圧倒される思いでした。来館者が直接触って見られる状態で、健のスケッチブックなども展示されているので、心配するこちらに「こういう美術館があってもいいのでは」と、鷹揚な文さんの説明に、この美術館全体を覆う温もりの理由が分かった気がしました。

 2005年(平成17年)の開館以来、常田健の作品を常時約30点展示。季節やテーマによって行う作品の入れ替えには多くのボランティアの方々が参加されているとのことでした。続いて、同じ敷地内に建つ土蔵のアトリエへ。生前のままに保管された内部では愛用した絵の具やパレット、薬缶やストーブやステレオ、防寒ジャンパーや長靴、イーゼルに掛けられたままの制作中の作品を観ることができました。そして、未発表の多くの作品群! 食事と風呂以外の時間のほとんどを、ここで過ごしていたという健の日常の姿を探ろうと寝室まで覗いてしまいました。


土蔵2階の寝室から、土蔵のアトリエ全景を望む。イーゼルに掛けられた描きかけの絵は「田の草取り」(右)と「岩木山」。 丁寧に案内して下さった岡田文さん(右)と、岡田考文さん。常田健が出演したビデオを拝見しながら、様々なエピソードを伺いました。






■開館日につきましては下記ホームページをご参照下さい
■入場無料 ■住所=〒038-1325 青森県青森市浪岡大字北中野字嶋田48 ■E-mail=info@
ken-tsuneda.com ■開館時間=AM10:00〜PM3:00 ■電話=0172-62-2442 ■交通のご案内=JR奥羽本線「浪岡駅」から徒歩約20分(車で約5分)/青森市営バス浪岡線(青森駅発)=大釈迦経由「浪岡」バス停降車徒歩約7分・青森空港経由「浪岡事務所通り」バス停降車徒歩約5分/弘南バス(青森管内)=「浪岡」バス停降車徒歩約7分/青森空港から車で約20分

ホームページ=http://www.ken-tsuneda.com/
本記事は2009年秋に発行の「花の心第55号」に掲載されたものです。

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