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1933年(昭和8年)1月に彼女は初めての単行本『South
Moon Under(満潮時)』をパーキンズの出版社から刊行しました。初版はわずか2,500部でしたが、売れ行きが好調で2ヶ月後には増刷が決定しています。この本は、のちに普及版の文庫本(paperback)になると共に、圧倒的な発行部数(1,300万部)と大きな影響力をもつ軍隊(第二次世界大戦時)への配給書籍に加えられ、ピューリッツァ賞の最終選考にも残りました。2年後の1935年には第2弾の単行本『Golden
Apples(黄金の林檎)』を出版します。マージョリーが全幅の信頼を寄せる編集者パーキンズは、どんな時でも執筆への協力を惜しみませんでした。また友人として様々な相談にのり、作家仲間との橋渡しもしています。アーネスト・ヘミングウェイ、F・スコット・フィッツジェラルドをはじめ、『Look
Homeward, Angel(天使よ故郷を見よ)』のトーマス・ウルフ(Thomas Clayton Wolfe/1900〜1938)、『North
of Boston(ボストンの北)』『A Boy's Will(少年の心)』で知られる詩人ロバート・リー・フロスト(Robert
Lee Frost/1874〜1963)等々。しかし、彼女はいわゆる[失われた世代(Lost Generation)]と呼ばれたヘミングウェイたちのように従来の価値観を否定しアメリカ文明に対し懐疑的で、時には享楽的ですらあった作家群とは一線を画していました。
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