古民家に移住してここでの暮らしを始めてもうすぐ4年になる。
東京で生まれ都会で育った私には「ふるさと」というものがない。子供の頃、「田舎に帰る」という友達が羨ましくて仕方なかった。家の庭でどろんこ遊びをしたことはあるけれど、草むらの中を走り回ったり、畑を歩いたりという原体験はなかった。そのせいか自然への郷愁がとても強く、土に触れながら暮らしたいという憧れがずっとあった。ご縁があって千葉に移り成田市街でオーガニックレストランを始めて7年めに移転を決意。どんなふうに暮らしたいか、どんな場所で暮らしたいかというイメージをずっと膨らませながら郊外での移転先を探し歩いた。
ようやく見つけたイメージ通りの古民家。
出会った瞬間、ここで暮らしながらお店をやろうと思った。でも築四百年の古民家はしばらく空き家になっていて、そのままではとても住める状態ではなかった。結局、たくさんの方たちに手伝っていただいて、二ヶ月間かけて手作りで修復した。その間はまさに感謝と感動に満ちた時間だった。
沖縄に「結」という言葉がある。
大変なときにはおたがいさまの精神で助け合う習慣のことを意味する言葉だが、まさに成田のこの場所で私は「結」を実感させていただいた。また半農半Xの暮らしを実践したいのでレストランは週末の日中だけの営業にした。
平日はワークショップの会場として使っていただいたり、料理教室やパン教室、瞑想会なども行っている。フリースペースのように多目的にいろいろなことができる場所になったらいいなと思っている。
結婚式の会場にも使っていただいた。人の門出の祝福をお手伝いするのはとても楽しかった。
でも時には心が疲れたり、何かの迷いが生じたり…生きていく途中にはいろいろなことがある。
そんな時、自然からたくさんのエネルギーをいただいたり、ほっとできる場所があったらいい。そこでみんなが元気になったら…。
そこに美味しいご飯があったら、もっと嬉しい。たくさんの方たちと「おいしい」「うれしい」「たのしい」を共有しながら、当たり前だけど、自然と一緒に生きていくって素敵だな…ってことを再確認することができたら…。そんな思いで古民家をお預りさせていただいています。よかったらどうぞお出かけください。